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魔法のターボ前編』～大阪・門真市～

【喫茶その】

『夢の世界一おいしいごはん誕生！』
この本を読んでしまったわたくしは、米穀業界にたずさわるモノとして、また一人のご飯食いとして事実をこの眼で確かめるべく大阪門真市（かどまし）幸福町商店街【喫茶その】へと向かった。　

【喫茶その】へは昨年末に一度訪問のチャンスがあった。
店の場所を確認するため一本の電話を入れた時のこと。
「ごめんなさい。実はおばあちゃんが調子悪うなって入院することになりましたんや！」「午前中は、やってたんやけど、今から店閉めなアカンようになって」というようなことで一度目は店に行く機会を逃してしまった経緯がある。

今回は、あらかじめ店が開いていることを確認し、気合いを入れ店内へ。
すると今回は「おじいちゃん、今散歩の時間でちょっと出てます」本の主人公であるおじいちゃん（ご主人）が散歩中ということでちょっと拍子抜けしたが前回入院していたおばあちゃんは元気に復帰していたので安心する。ここでこの本の解説を少しだけ。

昭和5年生まれのご主人は、さまざまな職業を経て喫茶店経営の傍ら発明に情熱を傾ける。現在は息子さん夫婦が店を切り盛りしている。
その喫茶店で出すご飯は炊飯後40時間たっても食味が落ちずつやつやと光っているという。
そのひみつはご主人が発明した『魔法のターボ』（呼称）にあった。一枚の杉の板に蒸気抜きの穴をあけたものを炊飯器の裏ぶたに取り付けるだけで驚異的な効果でいつまでも（約40時間）おいしいご飯をだすことが出来るらしい。
素材の木の部分が水分を吸収すると同時に蓋の隙間が蒸気を外へ逃がすことによって水分量を適度に調整するという、おひつの原理を応用しているのだ。
実際『魔法のターボ』は「炊飯器の保温器」ということで特許庁の実用新案登録もされている。が、さまざまな難関があり、いまだ実用段階での商品化にはいたっていない。
その発明に到るまでの試行錯誤の記録とご飯に対する思いやご主人の人生観をまとめたのがこの本である。

息子さんに本を読んで来た事を説明すると心底喜んでくれた。
『魔法のターボ』（実物）を見せてくれたり、本に書いてない色々な話をしてくれる。
はやる気持ちを押さえていたわたくしであったが、いてもたってもいられなくなりおじいちゃんを待つ間、さっそくうわさのご飯を実際に食べてみることにした。おにぎりと自慢のメニュー《空飛ぶハンバーグ定食》を注文する。
《空飛ぶハンバーグ定食》は昔懐かしい銀色のトレーに盛り付けられている。
生野菜と、目玉焼きが上に乗っかったハンバーグ、お新香と味噌汁。
ハンバーグはいわし粉カルシウム入りの手作りのもので、魚嫌いの子供でも食べられるように工夫がされてある一品。
なんとこの定食が500円、チーズ入りだと550円、ご飯食べ放題で700円、全て税込み！
良心的な価格に感動しつつも、なんで《空飛ぶ》なのかという疑問だけは残った。
10分後、満を持して現れたご飯は、想像をはるかに越えるものであった。

（次号に『魔法のターボ』、「空飛ぶハンバーグ」の写真付きでつづきます。
『魔法のターボ』とは一体どんなものなのか？お楽しみに！）

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魔法のターボ 前編』～大阪・門真市～

【喫茶その】

魔法のターボ前編』～大阪・門真市～